お知らせ

初段審査に合格されましたKさんの感想です。

11月19日

初段審査を終えて
                             2018年11月16日


 2014年の12月末に名古屋から大阪に帰ってきて、2015年の1月初旬に大阪合気塾の稽古に参加させていただいたのが始まりでした。身体も疲れましたが頭も疲れたというのが、最初の稽古直後の感想でした。今振り返ると、その時は仕事と家庭以外の何のしがらみのない環境で打ち込める何かを探してたのか。「日常からの逃避」だったのか。その時の心境を正確に思い出すことはできませんが、できるだけ自分の自由時間を合気道に充ててきて、少なくとも「のめり込んでしまった」といってもいいのではないかと思います。


 そういえば、初めて須磨先生にご挨拶させていただいたとき、「合気道の世界で45歳は若い」と言っていただきました。実はその言葉が本当にうれしく、その時「絶対続けよう」と思いました。会社で45歳といえば、平均的には、確実にオッサンと見られ、今更聞けないことも多く、常に板挟みのプレッシャーを感じ、闘い、傷つき、残り十数年の定年まで生き延びることを考えているんじゃないか。45歳が若いなんてトンデモナイ。(もちろん、そうではなくイキイキ、バリバリ働いている人もいますけど。) 大阪合気塾では、周りの人がいろいろと教えてくれ、師範、先輩方が惜しげもなく指導してくれています。そういう環境が、昔の純粋な自分を思い出させてくれました。いろいろ理由はあれど同年代で合気道を始められた先輩や仲間もたくさんいて、人生の悩める時期がこの合気道という武道に導いている気がしてなりませんでした。


 1級の審査直前にケガをして、3ヶ月間稽古ができなかったことがありました。「最短で黒帯を取る」ことを目標にしていた私にとっては大ピンチでした。それでも「ピンチはチャンス」と思い直し、さっそく剣と杖を購入。毎日素振りと腹筋運動。座技ではずっと身体が重く感じていたのでケガ同時にダイエットも始め、稽古ができない3ヶ月間は目標を立てて再開までの地道な準備を行いました。実際の稽古ができないからこそ、素振りをしながらそれまでの自分の技の不安定さを反省することもできました。


 合気道を始めて4年近く経ちましたが、これまで師範や先輩はもちろん、いろいろなタイプの方と稽古を重ね、合気道は頭と身体を使い実戦で学んでいくものなんだと、あらためて思います。言葉で技のコツを聞き、頭で理解してその通りやったとしても、なかなかうまくできないんですよね、これが。姿勢、間合い、剣さばき、腹筋力など基本に立ち返って、少しずつでも、そういう難しさを乗り越えていくことが合気道の面白さだなと実感しています。100回やっても全然できなかったことが、101回目に「あれ、うまくできたぞ」と頭の中でドーパミンみたいなものが駆け巡り思わずニヤけてしまったり、102回目にはまたうまくできなくて悔しい気持ちになったり。そういう感覚が楽しく、稽古相手にもその気持ちが伝わり。。。「楽しくなければ合気道じゃない」ってこの事じゃないか。これって、人生も同じじゃないか。


 普段の生活の(特に会社での)人間関係にも、合気道は影響を与えてくれたと思います。特に「間合い」の取り方。若いころから自分の距離感に相手を合わせようとする性格でしたので、合う人は凄く合う、合わない人は全然合わないところがありました。今年の3月に仕事の都合で東京に移り住み、新しい人間関係を構築しなければならない環境ですが。自分の「中心」は守り、相手との「間合い」を意識して人と接するようになりました。苦手なタイプの人とでも前向きに良い関係を築けるようになったかもしれません。人生のどの時点からでも、人は変われるんだな、と実感しています。


 この文章の最後になりますが、須磨先生、諸先輩方、大阪合気塾の仲間の皆さん、この場をかりて改めてお礼申し上げます。これからもご指導の程よろしくお願いいたします。

 須磨先生の技を見ていて思うことがあります。合気道を技術でやっているんではなく、魂でやっているんだな、と。仮に技術的にきれいな技ができるようになっても、それは伝わらないし、記憶にも残らない。私が目指す合気道とは何か?初段審査を終えて、少しぼんやりと見えてきたような気がします。言葉にできるのは、まだ先のようですが。

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