お知らせ

3段審査に合格されましたEさんの論文です。

5月04日

−「中心を見つけて中心を守る」−

道場で須磨先生はよく「中心を見つけて、中心を守る」の原理の重要さを指摘されています。最近この意味について考えておりますので、ここで自分の理解を説明したいと思います。 

合気道の中で「中心」は全ての動きと技の原点になると理解しています。中心は主に三つの構造からなっています。これらはバランス、姿勢と呼吸です。 これらの部分はお互いに存在していますので、一つへ何か変化がありましたら、他の二つにも変化がでます。つまり、自分のバランス、姿勢や呼吸の仕方の変化は自分の「中心」を変えます。自分の中心は技のベースの原点となりますので、これが変われば、相手に対しての動きやしようとしている技にも影響が出ます。

 技は「自分の中心から出て自分の中心に戻る」と須磨先生も良く仰います。すなわち、投げも受けもお互いの中心から動いているわけです。したがって、技を有効的にかけるにはさばきの後にまず相手のベース(中心)を崩さなければならない。崩してから、自分の中心を通して相手をようやくリードできるようなります。しかし、このために自分の中心を安定させて維持していくのも必要です。簡単に言うと合気道の基礎は自分の中心(ベース)を意識的に維持しながら、相手の中心を崩していくことだと言えると思います。この概念は「中心を見つけて、中心を守る」で示されています。

 どの技でもどの相手でもこの原則は変わりはありません。自分のバランス、自分の姿勢、自分呼吸の状態を確認し、安定させます。そしてその安定な「ベース」から相手のベースを崩しいく。全ての技は自分の中心から出て、相手の中心にかけて、そして相手を崩したら、また自分の中心に戻ります。腕、手、足、肩などは投げと受けの中心の間にエネルギーを伝えるための入り出口のみです。技の本質は中心対中心です。

 このように、「中心を見つけて、中心を守る」は合気道の一つの原則と言えます。自分のバランスは安定しているのか?自分が良い姿勢て技を取り組んでいるのか?自分の呼吸リズムを維持しているのか?自分の中心から動いているのか?相手の中心を崩したのか?この相手に私のバランス、姿勢、呼吸はどのように影響されているのかなどのことを練習し続けることで自分の合気道の発展が可能になると信じます。

 これは私にとって非常に難しいことです。自分のバランス、姿勢、呼吸の深い理解だけではなく、相手の状態も直ぐに感じて確認できるようにならなければなりません。自分の技が失敗した時、ほとんどの原因をこの中に見つけることができます。私の場合は、集中力が弱くなって息を止めたり、苦しくなったりすると、呼吸のリズムが崩れてしまいます。そうなりますと、体が硬くなり、姿勢が悪くなり、バランスを崩し、最終的に相手の中心に負けてしまう時が多いです。三段審査の乱取り時にもこれが起きました。最後の方で自分の中心から動かなくなって相手に捕まられました。辛い思いですが、非常に良い勉強になりました。今後、自分の稽古の中では、「中心を見つけて、中心を守る」の原則の理解をもっと深く鍛錬していきたいと思います。
以上

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