6段位に昇段されましたIさんのメッセージです。
1月31日
「これまでを振り返って」
長い道のりの過程にあって、このような昇段の節目を与えて下さいました先生に、まずは厚く御礼申し上げます。またこの度、諸先輩方、稽古仲間の皆様から、たくさんのお祝いメッセージをいただきました。久々に背筋が伸びたような気がします。改めまして心から感謝申し上げます。
武道であることすら知らずに始めた合気道。道の世界とは何なのか、合気道とはどういうものなのか。すべては、歩み続ける道の先輩方が醸し出す、その場の空気から学んできているように思います。
習い始めた頃、随分と先輩にあたる方が、「そうか、もうちょっとこっちに指先を向けたらいいのか。」と、とても楽しく嬉しそうな表情をされたのを見ました。「なぜそんなに心がうきうきするのだろう。ほんのちょっとの違いでそんなに喜べることってあるのだろうか。」と随分と不思議に思いました。不思議に思うと同時に、同じ技を何十年も稽古して、どういう意味でそんなにおもしろいと感じるのだろうと心に残りました。
知識を増やせば何かわかるようになるかもしれない、と本屋に行ったことがあります。何冊かに目を通すうちに、私が知りたいのはすごい技のお手本ではなく、上手になった人が日々どんな稽古をしてきたのか、どんな感じで段階的に向上していったのか、という過程が知りたいと思っていることに気づきました。それ以降は、機会を見つけては稽古を積んでおられる方につきにいったり、質問したりするようになりました。
一番最近の五段位の頃を振り返ると、「○○していたつもりだった」と自分でもわかるようになってきました。(○○のところは、基本動作や技の名前を適当に入れて下さい。)どんどん上達するというよりは、「ところで、最初に習った半身のかまえって、これでいいの?」といった感じです。型の話ではなく、例えば、「今の半身の体勢で転換の動作を繰り返すうち、ぐらついたりはしませんか。右半身でも左半身でも同じようにちゃんとできますか。」といった、誰にでもできそうな問いかけに応じることができるか、です。基本動作ひとつからでも、いろいろなことが見直せると感じた月日だったよう思います。
最後に、私の考える稽古継続の秘訣を記します。
それは「稽古中は稽古に集中する」ということです。忙しさの中にあっても、いろいろと抱えていたとしても、道場で正面に一礼するときに気持ちを切り替える。そして、稽古では稽古に集中する。稽古の中に気持ちを落とし込んでいく。そういった日常から切り離してのつかの間、自分からすーっと稽古に入り込むことで、気持ちをほんのひととき、ひとところへ集める。こうした時間を、自分の生活の流れの中にストンまたストンと落とし込んでいく。
小さな歩幅ではありますが、これからも「時間が来たら当たり前のように」の目線で稽古に取り組んでいきたいと思います。今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。
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