4段審査を受けられましたIさんの論文です。
9月25日
【4段審査にあたりまして 振り返りと気付き】
大阪合気塾に入会して12年、当初は自分が4段にまでとは夢にも思ってもいませ んでした。
また先日は家族で合気道探求に載せてただくお話を頂戴し、子供2人との稽古の 想いを綴らせていただきました。まさかの連続に戸惑いながら思わぬめぐり合わ せに感謝しています。
入会のきっかけは子供に武道を習わせたいという思いからでしたが、始めてみる と自分が夢中になり、いつのまにかここまで来ていました。子供2人はそれぞれ 18歳と15歳になり、力も付いてきて、いい稽古相手になっています。2人が一緒 に通ってくれていることにも感謝しています。
自身のこと振り返りますと、まず初段までは黒帯を目指してひたすら稽古に通う 日々でした。純粋に知らなかったことを知ることが楽しく、出来なかったことが 出来るようになっていくことに夢中でした。
続く初段から2段にかけて、その頃に隔週で開かれていた特別稽古に加えていた だきました。普段あまりやらない変化技を教えていただくことも多く、それまで 覚えたことの幅が広がっていくことがまた楽しく、引き続き夢中な日々でした。
さらに2段から3段にかけて、ちょうど大阪合氣塾に体の大きな外国籍の方がたく さん在籍していた時期でした。今も一緒に稽古をしているアドリアンに加えて、 ピ-ター、エリック、ラマンなど強烈なパワーの面々です。忘れられないのがあ る日の稽古で、師範とこの4人と私というメンバーの日がありました。始まる前 に一人がやさしく声をかけてくれました。「石原さん死ぬよ♡」と。本当に死に かけました。1時間ボロ雑巾状態でした。おかげで、日本の武道において、柔よ く剛を制す、力なく相手を制するなど、大小強弱の理念が多く説かれている訳が よく分かりました。
そしてまた数年が過ぎ、特にこの1年半はコロナ禍で丹田を意識しながらのじっ くりとした稽古が続いています。かねてより力が入りすぎてしまう性分であり、 それを見つめ直す良い機会でもあります。
これまで倒し方や投げ方ばかり考えていたところが、少しさかのぼったところで 相手を自分の中心に持ってくることや丹田を使える位置に入ることなど、途中の 過程に意識が向かうようになってきています。言葉で表現することの難しい感覚 ではありますが、この意識が続いた先に一歩先の景色が見えてくるのではないか と思っています。
また朧気ながら「結び」の言わんとすることが分かってきました。つながりを 保っておかないと技が効かない、接点が切れると力が伝わらないという単純なこ とではありますが、それを身体で実感として受けとめられるようになるまで随分 と時間がかかりました。武道に限らず仕事や日常生活でのあらゆる人のつながり に通じる名辞でもあり、それがわずか2文字に凝縮されているところに日本語な らではの美しさも感じます。結びを切らさないためには一拍置いて相手の動きを 待つ心の余裕も必要で、せっかちな性格の矯正にもなりそうです。
コロナ禍では、長期の休みや単独稽古の続いた時期もあり、あらためて道場での 相手のいる稽古のありがたみを知りました。同じ1時間、1回でも多く技を掛け 合い、限られた時間を大切に使っていきたいです。
最近は機会が減っていますが、講習会などを通じていろいろな形の合気道がある ものだと感じています。痛い技をされる方もいれば、力の強い方、動きの速い 方、その中でも痛いけどなぜか怪我をする気はしない、速いけど離されないな ど、ぎりぎりのところで加減の効いた絶妙な方もいて、あるいは少し趣の異なる 導かれるような柔らかい技もあってと、百人いれば百通りの姿がある不思議な世 界です。四角もあれば丸も三角もあり、青もあれば緑も黄色もあって、でもすべ て同じもの、という禅問答のような難解な世界ですが、ひとつの型にはめてしま わない懐の広い理念のもとでの合気道の世界観なのだと受けとめています。自分 たちの形を大切にしながら、それでいて型にはまりすぎることもなく、加減の効 いた技と人格を目指していきたいです。
先日、ある著名な方が幸せの3条件というのを語っていました。
「現役であること」「成長していること」「居場所があること」だそうです。居 場所とは参加するコミュニティがあることとのことで、いま自分がいる境遇にあ らためて幸せを感じました。
いつまでも現役で成長していきたいと思っていますので、引き続きご指導をお願 いします。 以上
石原さんおめでとうございます!私のことを覚えていてくれて嬉しいです。あの練習から何年経ったでしょうか。あの頃が懐かしい。