2段審査に合格されたKさんの感想です。
3月10日
合気道二段審査によせて
初段審査から三年を経て二段審査に臨むこととなりました。入会した頃は、二段は山の遥か上の方と思っていました。いざ到達してみるとまだまだ麓のほんの入り口のように感じます。山の頂は雲に隠れて見えませんが、少しでも頂きに近づく努力をしたいと思います。
初段合格後は、先輩方から優しくも厳しい稽古をして頂けるようになり、白帯の時とは全く違う稽古環境となりました。力ではどうにもならず、崩し・中心・姿勢がまだまだ未熟だと実感しています。
【合気道について】
私のような若輩者が合気道について論じても大した考察は出来ないと思いますので、「薪割り」と合気道について考察してみたいと思います。「薪割り」?と思われるかもしれませんが、意外と奥が深いのです。開祖植芝盛平翁は若き頃に北海道や満州、岩間を開拓されていますので、きっと斧を手に取り薪割りをされていたと思います。
私は薪割りが趣味。と言うほどでもないですが、たまに薪を割る機会があります。スパーンと木が真っ二つになって飛んで行くのは気持ちが良いものです。それだけに留まらず、薪割りを続けていると無心になっていくのです。身体を使いながらも心は無になっていく。相反するようですが動の中に静がある。合気道にもそのような瞬間が訪れるような気がします。(単に酸素不足で脳が働いてないだけかもしれませんが…)
一見、スパーンと簡単に真っ二つに割れるように見える薪割りですが、薪割りにも効率的な体の使い方。と言うものがあります。「木元竹末(きもとたけうら)」という言葉があり、木は根本から竹は先から割れ。という意味です。合気道、薪割りに関わらず「基本の基」というものがあり、それを知っていなければ上達は望めません。上手な方は動きに無駄がなく流れるような動きで美しいのです。そう、合気道のように。そこで、私が最近の稽古で意識している「姿勢・間合い・中心」との対応について考察してみたいと思います。
【姿勢】
薪割りにも正しい姿勢というのがあります。自分の体重を斧の刃に一点集中させ、丸太(玉切り)に効率よく運動エネルギーをぶつける。という目的もありますが、第一には空振りした斧で自分の足を割らないための安全確保の意味合いが大きいです。そのためには足を肩幅より若干大きく開いて丸太に正対することが大事です。片足を前に出して半身になる構えは上級者向きです。
武道、スポーツに関わらず姿勢は大事ですし、相手がいなくても稽古が可能です。私の場合、合気道では手さばきが気になり視線が下がり、結果として前傾姿勢になってしまうクセがあります。正しい姿勢を心がけたいと思います。
【間合い】
初めて薪割りをする方が陥りやすのが、斧の刃ではなく柄で丸太を叩いてしまい手が痺れたり柄を折ってしまうことです。これは重量物である鋼鉄の刃が先端に付いているために、振り下ろすと遠心力で腕の関節が伸びるのです。そのため中心を狙うと刃が思ったよりも遠くに達するために手前の柄の部分で丸太を叩いてしまうからです。
大きい、小さい、長い、短い丸太、割りやすい針葉樹、節が多くて割り辛い広葉樹。など人と同様に木にも色々とタイプがあります。丸太は動かないので相手に関わらず自由に間合いを取れますが、合気道の場合には様々なタイプの方を相手に、動きの中で技にあった適切な間合いを取る必要があります。私の場合、適切な間合いが取れていないために、相手の腕が脇を閉める方向に動いてしまい結果的に相手を動かせないことが多々ありました。
【中心】
基本的には年輪の真ん中(丸太の中心)に刃が入るよう狙いますが、大きくて割りづらそうな薪は、一回で割ろうとせず、敢えて周囲から削るように割ることもあります。(どうしても割れない場合は楔(くさび)を使います)また、刃の入りどころが悪いと跳ね返されるとこもあります。薪割りでは姿勢と間合いが正しければ、中心を狙うのは難しくありません。合気道では今は相手の中心よりも、自分の中心を如何に保つか。を意識しています。
【審査について】
今回の二段審査では、いざ審査となると考えている余裕は全くなく思うように身体が動きませんでした。審査の後に自分の審査を撮ったビデオを見ましたが、酷いもので落ち込みました。さらなる高みに向け、自分の昇段審査を肝を舐めるような気持ちで思い出し、臥して薪の上に寝るように稽古して行きたいと思います。(臥薪嘗胆の意)
【二段審査を目指す方へ】
私は二段審査を受けるにあたり、先輩方に色々と御指導・御協力を頂きました。二段としてまだまだ未熟な私ではありますが、今回二段に昇段した方々ともども、いつでも稽古のお手伝いをしますので遠慮なく声を掛けてください。
【御礼】
二段審査という節目にあたり、一緒に稽古をして下さる皆様にこの場を借りて御礼申し上げますと共に、審査で須磨先生に御指摘頂いた「滑らかな動き」を目指して今後の稽古に臨みたいと思います。 以上
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