2段審査を受けられるM影さんの感想です。
3月24日

『合気道 -20年の年月を経て思うこと-』
大阪合気塾にお世話になり1年半が経ち、この度本道場にて初めての審査を受けさせて頂くことになりました。この機会を得まして、合気道との出会いから、合気道について思うところを振り返ってみました。
合気道との出会いは大学生になったばかりの春、合気道部への入部がきっかけとなります。中学・高校とブラスバンド部に所属しており全く運動経験のない私でしたが、「初心者歓迎!」の勧誘ちらしと見学した時の先輩達への憧れから、なぜかこれしかないという気持ちで迷いもなく入部を決めました。週4回の部活動を通じて基礎からみっちりと指導いただき、初心者なりにも自分のカタチは習得できたものと思っています。学生時代に指導いただいた中で今でも意識していることは、まず「しっかり握る」ことと「しっかり手を開く」ということです。当時は片手取りの際に、受けの方が握ることだけで息が切れてしまう程にしっかり握っていたものでした(反対に握られる時も同様なので、おかげでいつも手首の周りは腐ったバナナのような色でしたが・・・)。でもそのことがカタチだけではなく、「気の流れ」ということを感じることができたきっかけになったと思っています。一生懸命に「握る」ことで、相手の「気」が少しでも感じやすくなるし、息を吐きながら「しっかり手を開く」ことによって「気」を出しているという感覚をなんとなくでも感じることができたように思います。体育会系のクラブだけあって体力的にはきつい面もありましたが、部員みんなで一緒に合気道をしている事が大好きで、最後まで本当に楽しく合気道をして過ごせた学生生活でした。
その後、社会人となり道場での合気道とは離れていましたが、常に合気道と繋がっている感覚がありました。それは、合気道部を引退する際、師範から「道場に通うだけが合気道じゃない。どこにいても、息をしているだけで合気道ができる。」というお言葉を頂いた事がずっと心に残っていたからかもしれません。道場を離れての合気道とは、私にとっては生き方であると理解しています。その1つとしては、合気道は相手がいて相手との関係で成り立っているところが、対人関係と同じであると思うからです。相手の行きたい方向に導けたとき、受けも取りもスムーズに無理なく自然な技ができます。人との関係においても、相手の要求を理解し、その上で最適な方向へと導くことができれば、摩擦なく事が運びます。また、仮にぶつかった時でも、スムーズに動ける方向が必ずあるので、少しずつ方向を変えながら、流れる方向を探ることが打開策となることもあります。強引に技をかけると、相手より相対的なチカラが強ければ、見た目の技をかけることができますが、受けも取りも違和感が残りどこかすっきりしない。対人関係においても、チカラだけでは本質的には何も動かないのだと思います。2つ目として、合気道から教わって意識していることは、自分の中心をしっかり意識するということです。自分の成し得たい事がある場合、まず自分自身が揺らぐことなく、中心を意識してしっかり立ち、そして周りを自分の中心に巻き込む。自分がうまくできているかはわかりませんが、そういうイメージを持って取り組んでいます。3つ目としては、息を吐くことです。合気道は呼吸であり、丹田に力を込めて息を吐くことで気を出すことができます。息を吸っている時には気が出ませんし、何より隙があって一番弱い時です。仕事で重要な会議など、戦闘モードにしたい時は、息を吐くことを意識しています。無防備に息を吸っていると、その場の雰囲気に飲まれる気がします。私は息を吐きながら、するどい指摘にも怯むことなく反論するようにしています!番外編として合気道をやっていて良かったと思うのは、関節技ができることでしょうか。中学1年の反抗期の長男に対しても、関節技を駆使しながら、まだ支配下に置くことができています(もちろん、エッセンスとして使用しているのみです!)。これらが私にとっての道場を離れての合気道です。
大学卒業後20年近くが経過した頃、知り合いが合気道をしていたことをきっかけに、大阪合気塾と出会うことができました。合気道のことを熱く語る知人に影響され、遠い昔の楽しかった合気道部のことが無性に懐かしく、体を動かしたいという欲求が高まってきたこと、末っ子が小学校へ入学し、自分の時間が少しずつ増えてきたこと、そして今の自分を変えたいという感情のタイミングが合い、再び道場での合気道を始めようと思いました。
最初は体を動かすことが爽快で、また少しずつ昔の感覚が思い出されることが快感でした。そして徐々に体育会系合気道部と道場の稽古の違い、あるいは昔と今の違いを感じるようになりました。何といっても今は毎回、師範に直接稽古をつけていただける事をとてもありがたいと思います。学生時代は、先輩からの指導が中心のため、師範から直接稽古をつけていただける機会はとても貴重でしたから。また、今は一緒に稽古できる方々の多様性を実感しています。同年代中心だった学生時代とは異なり、小さな子供たちから大先輩方まで、幅広い年齢層の方々と一緒に稽古できる環境であり、それが合気道の良さであるとともに、相手が誰でも同じように技をかけることの難しさを痛感するところでもあります。そして自分の中での体力の衰え。こんなハズではと思うことが多々ありますが、だからこそ、昔の合気道のスタイルに戻ることを求めるのではなく、今の自分に適した技やスタイルを探していくことが必要だと思っています。
合気道は武道である以上、真剣勝負であり、負けない強さを追求するものですが、私はそれ以上に、合気道の技が他のものの本質・原理・秩序などとの共通点を見出せるところに魅力を感じています。そして、合気道も人生も心地よくというのが私の目標です。余分な力を抜いて、受けも取りも気持ちよく、そしてしなやかな技をしたいと思っています。幸いにも当時のような体育会系の勢いとチカラはなくなっていますので。
大阪合気塾と出会い、須磨先生と出会い、たくさんの先輩方、道友の方々と出会えたことに感謝しながら、そして20年の人生経験が稽古不足の未完成な技をどこかで補ってくれることを期待しつつ昇段試験に臨みたいと思います。
姐御!!
新作頑張って下さい!!
素晴らしいですね!審査、がんばってください!受けが取れるように準備したいと思います。