お知らせ

昇級、昇段審査後の感想及び論文

12月08日

 須磨キャラクターmiddle12月5日(土)から6日(日)にかけて昇級、昇段審査を実施しました。審査を受けられ合格された皆さんの感想を下記します。 尚、3段に昇段された方は、事前に提出してくれました論文を記載致しますのでご参照下さい。 1)今回4級に昇級されたM.Kさんの感想です。

 今回,昇級審査において,  ・審査を受ける機会を下さった須磨先生。  ・常に容赦なく投げて下さる諸先輩方。  ・審査当日の最後の最後まで技のポイント等をご指導下さったMさん。  ・審査時に思いっきり投げて下さったI君。   ほんとうにありがとうございました。  審査を受ける時,まだまだ技が満足に出来ない私は  ・姿勢。  ・局所的な力ではなく,全体的な,腰を中心とした力の使い方。   の2点を意識して審査を受けようと思いました。  しかし,審査が始まってしまえばそんな意識はどこかへ飛んでしまいました。  ・ I君に全力でぶつかり,全力で技をかける。  ・ それに応えてくれたI君の技に対して全力で受けをとる。   の繰り返しでした。結果,息も上がり通常の稽古をしている気分になり,緊張による肩の力みが抜けま   した。  今回審査を受け痛感したのは  ・自分自身の体力のなさでした。体力が無いから今回のように無我夢中になるだけで,自分に余裕が出来   ない,結果,技や姿勢に意識が向かないという無様なことになってしまったと感じています。  今のスタミナでは次に受ける3級審査では自分を発揮できないので,    ・トレーニングをする時間を見つける。  ・脂肪をつけない為,過食をアルコールを控える。    ことが必要だと実感しました。  今回の昇級審査を通じて  ・合気道は道場以外でどのように過ごすかが重要ではなかと実感しました。今後も須磨先生をはじめ多く   の諸先輩方,ご指導の程よろしくお願いします。   これからも全力で胸を借りさせて頂きます。 2)今回、3段に昇段されたH.Tさんの論文です。

合気道と私   私の合気道に対する姿勢なり、これからの進むべき道についてじっくり立ち止まって考えてみるとても良い機会をいただきました。この文章を書き進めながら、一つ一つ思い出していきたいと思います。

 まずは、私と合気道の出会いから始めたいと思います。今から約十五年前にさかのぼります。場所は名古屋。先輩の勧めもあり、それまでまったく合気道についての知識が無いのにもかかわらず、何か運動を始めなくてはという切羽詰った思いの中でこの世界に始めて足を踏み入れたわけです。

 先輩からは、「合気道」はとにかく楽な武道や!殴る、蹴るも無いし、やさしいもんや!と・・・ちょっと待てよ、そんな生ぬるい武道があるんかいな?ほんとにそうであれば、それはそれでいいのかな?という、今思えばお恥ずかしい限りの単純な動機で入門したわけです。入門当初は、なるほどそんなにきつそうには見えないし、何とかやっていけそうだなという漠然とした感覚で何回か稽古に行きました。まず始めにぶつかったのは、基本の半身での姿勢と手、足は右・左どちらも同じほうを動かすといった武道独特の構えと動きでした。見取り稽古では何とかできそうな感じなのですが、実際体を使ってはなかなかうまくできない。目で見たものを体現することがこれほど難しいものかと、思ったものでした。そんな思いの中、少しずつ技も覚え、なんとなく合気道のような形になっていったのだと思います。

 一年程して大阪転勤となり、それからの約二年間は合気道から遠ざかることになりました。そんなあるときまた先ほどの先輩から、「大阪に大学時代と会社での同期が合気道師範をしている。良ければ紹介する。」とアドバイスをいただきました。そのときの私は、日々の仕事に追われ、毎日何かと忙しくしておりましたし、慣れない大阪暮らしのためか、毎晩仕事と称して飲み食い歩きをして過ごしたりしておりました。こんな生活が続くとメタボまっしぐらで、体重は八十七㌔ほどで当時のアパートの三階への上り下りも苦しい状態でした。こんなことでは早死にする!やばい!と思い、紹介していただいたわけです。この時紹介していただいた師範が、それ以降ずっとお世話になっている「須磨師範」です。おそらく最初にお会いしたときは、かなりひどい印象をもたれたのではないでしょうか?何しろ八十七㌔の巨体で、前受身と後ろ受身を数回繰り返しただけで息は絶え絶え、しかも吐いてしまったのですから・・・

 そんな私に、師範は仰いました、「大丈夫ですよ!できますよ!」と。そのときの印象でこの師範しかない!この師範であれば自分を変えることができると確信しました。とはいっても、稽古再開当初は自分を変えるどころか、やはり日ごろの不摂生がたたり、一日一日何とかこなすことが精一杯だったと思います。合気道が楽しいとか、やりがいがあるとかは一切思わなかったように記憶しています。

 そんなこんなで、そのような日々も一年ほど経って徐々に自分の動きが掴めてくると、体を動かすことは勿論、相手とのやり取りも感じることができるようになり、そこに楽しみが沸き起こるようになってきたのです。そうなると、欲が出てきます。無謀にも上級者を何とか制してやろうとか、何とかなるのでは?などと調子に乗って稽古をしたこともありました。そんな私に師範は、常に少し上の負荷をかけられ、「お前はまだまだ修行を積み重ねないといけないよ」と教えていただき、更に知らず知らずの内に力がつくようにしていただきました。この時期、とにかく思いっきり力を出し切る「腹稽古」を夢中でやったことが今になって実になり、基礎がなんとなくできたのではないかと感謝しております。

 以降、様々な師範や道友との出会いがありました。特に、佐々木師範との出会いは格別なものでした。今の私の人生に多大な影響を及ぼした人物です。佐々木説法を何度もお聞きする内、不思議な自信と生き方を見出せたと確信しております。何事にも動じない姿勢と、人知れず努力するお姿に触れ、少しでも上を目指し日々努力しなくてはと自分自身に言い聞かせながら過ごしております。

  最後に忘れてはならないのは、これらすべてのきっかけは「須磨師範」との出会いがあったから実現できたことなのです。前にも述べましたように、肉体的にも精神的にも一杯一杯だった私を快く受け入れていただき、更に人生を左右するような出会いのきっかけを作っていただいた須磨師範に感謝申し上げたいと思います

 今回三段を受審させていただくにあたり、師範はじめ稽古をつけていただいた道友の皆様に感謝いたします。まだまだ、技の内容とか難しい解釈とかほとんどわかりませんが、今後は少しでも上を目指し、次の世代に引き継いでいけるような合気道と人格を磨いてゆく所存です。

3)今回、3段に昇段されたH.Sさんの論文です。 「合わせ」について

 最近稽古を通じて様々なことを実感し、考える機会が多々あった。その中でも現在特に意識して実現しようと努力していることに「合わせ」がある。そこで今回の小論では「合わせ」について考えをまとめてみた。  そもそも合気道の技術体系は、相手と接触したした瞬間に、相手の自律的な体のコントロールを不能にし、重心を崩し、投げ・固めるものであると思う。その際最も最初に行い、かつ最も重要であるのが「合わせ」であろう。なぜなら、「合わせ」によって相手の自律的なコントロールを奪うからであり、相手の重心を崩し、投げ、固めることができるのはこの「合わせ」があるからである。実際には(師範方の場合には)「合わせ」と「崩し」が同時に起こっているので、「合わせ」ができるようになれば「崩し」はその時点ではほぼ自動的に成立していると考えて良い。大東流合気柔術には「合気を掛ける」という表現が存在し、また、「敵と対峙した際には『合気を外す』ことが肝要である」との記述も古文献にはあるという。それらを総合すると、今「合わせ」と表現している動作は「合気を掛ける」と言うときの「合気」と同じであると推察される。  では、「合わせ」あるいは「合気を掛ける」ためには何が必要か。須磨師範、佐々木師範を始め稽古を付けて頂いた師範方の技や言葉や説明だけでは不明なことも多い。自分自身が実現しようとしてできないこと、見取り稽古を通じてなぜできないかを考え、現在私が理解していることは次の様なことである。 1.まず、相手との接点を動かそうとしない。  体の転換を始めとして、当たり前の事であるが、実際には次の動作の準備をしようとして相手との接点を動かそうとしていることが多い。動かそうとした結果、相手からは動く事への拒絶の反応が(強弱はあるが)返ってくることになる。つまり技が「掛からない」ことになる。そこで相手を動かそうとして、ますます相手からの拒絶反応が強くなり、泥沼のようになる。では、どうすればよいか。 2.力を抜く。  これも当たり前のように語られることが多いが、実際にできていることは少ない様な気がする。なぜなら、無駄な力を抜くことと、完全に脱力することとは異なるからである。力を抜けと言われると、腑抜けのようになることが多い。が、そうなると、相手に押し込まれてしまうので、反射的に力んでしまうのである。結果は、力を抜こうとして逆に力んでしまい、相手と力くらべをすることになり、やはり泥沼である。では、どのように力を抜くのか。 3.屈筋を使わないように意識する。  上腕二頭筋に代表される屈筋を用いるとほぼ百パーセント力んでしまう。上述した腑抜けにならずに力を抜くためには、伸筋を意識的に用いる。黒田鉄山(民弥流居合術・駒川改心流剣術)は、伸腕で剣を振ることを言っている。また、植芝盛平翁五十二歳の時の演武では、腕を伸ばして動かして弟子を投げ飛ばしている様子をVTRで確認することができる。しかし、これだけではうまくいかないことが多い。なぜか。 4.外層筋を使わず内層筋を使う。  腕を伸ばしても肩の外層筋に負担が掛かっているだけのケースが多く見られる。肩が上がってしまい、結局力んだ状態になってしまっているわけである。突っ張ってしまい、自分の動作が不自由になってしまうことも珍しくない。これを解決するには内層筋、特に体幹の内層筋をうまく使えるようにならなければならない。代表的なものは大腰筋である。しかし、体幹の筋肉群はなかなかうまく使えない。そこで、体幹の筋肉群を使えるようにするためには、 5.中心を意識する。  本来骨格筋は随意筋であるはずだが、体幹の内層筋は随意運動にはなかなか反応しない性質を持っている。これを使えるようにするためには、まず意識化が必要である。中心を意識することにより、四肢の外層筋(特に屈筋)に抑制をかけ、体幹の筋肉群を作動させるようにトレーニングする必要があるわけである。強い体幹を獲得できれば、巌のように相手に対して感じさせる。武育会の木村師範はまさにそんな強烈な体幹を持っていた。しかし、意識するだけでは、体幹が使えるようになるには時間が多く必要となる。そこでもう一つ重要な要素がある。 6.姿勢を常に保つ。  これもまたよく聞く言葉の一つだが、なかなか実現できない事の一つでもある。偏りが生じていることは、体幹ではなく外層筋の、しかも左右のどちらかに負荷が生じている証拠である。適切な脱力ができており、かつ体幹の筋肉群を優位に用いている状態の時、偏りは見られない。目線(目付)の重要性もここにあると思われる。そしてその状態を実現するためには、 7.足捌きをきちんとする。  入り身と転換(入り身転換)をきちんとして相手との適切な間合いを保つ必要がある。体勢が崩れている場合の多くは捌きがきちんとできていない事によると思われる。そして、 8.以上の状態を常に保つ。  これは至難の状態である。部分的に上記状態ができた場合でも、一つの技を通して維持できていることは希であろう。これにはやはり反復しかない。稽古照今である。最近の須磨師範の技はこの状態に近いと感じることが多い。 9.まとめ  結局、合気道の技法のある部分を考えていくことは、合気道の技全体を考えることと同義である。したがってこの小論では十分に考察できていない部分もあるであろう。しかし、こうやって記していくと、自分自身にできていないことがあまりにも多いことに改めて気付いた。この小論文は昇段審査のために書いたものであるが、自分自身の成長のためにもこの内容を吟味しながら稽古に励んでいく所存である。  以上

4)上記H.Sさんの昇段審査を終えた後の感想です。 須磨先生へ

 昨日はありがとうございました。体調が万全でないので不安はあったのですが、それなりにできたのではないかと思います。わざわざ私のために時間を割いて来て頂いた皆様にも感謝感謝の気持ちです。本当に有り難いことです。後から気付いたのですが、Oさんからも励ましメールを頂いておりました。
 しかし、本当に長かった。しかも受けが・・・・・重くて頑丈なTさん、リベンジのY君、そして恐怖のSさんという必殺シリーズ。Tさんの時にすでに足にきてました。Y君の自由技では、結構技が掛かっていたので、今やっている稽古の成果が(少しは)でたのではないかと思います。Sさんの武器は呼吸が取りやすかったので有り難かったです。しかし三人掛けは・・・。Y君のあの感じの受けでも崩せるようにならないと、と思いました。まだまだですね。
 しかし、総じて現在のレベルが自分でもかなりクリアになったので、四段審査に向けて(もちろん昇段審査のために稽古しているわけではありませんが)一段と稽古に励みたいと思いました。
 審査後の江坂での食事(?)会も本当にありがとうございました。楽しかったです。因みに、夜中に足がつってしまい3回目が覚めました。ひとまずは御礼まで。

 

昇級、昇段審査後の感想及び論文」へのコメント

  • 須磨

    以下、Hさんよりの3段審査を受けられたH.Sさんへのコメントです。
    Sさん 
    昇段おめでとうございましたご、同慶の至りです。
    ・この1~2年、しっかり稽古されたご努力・精進の成果かと思います。
     大変素晴らしい審査会でした。審査は、その都度、いい節目となります。
     普段の稽古の自己点検、気付きの機会となり、今後の課題が明確になることで
     更なる成長への通過点・登竜門となりますね。
    ・序盤の座りから半身半立ちは姿勢正しく、なかなかの滑り出しでしたね・・・。
     中盤の立ち技と終盤の多人数掛は、「半身」の維持と「呼吸力」の継続が
     今後の課題かと思います。中締めの、武器の部は気迫満点で気力が
     途切れる事なく、素晴らしく感動いたしました。
    ・今後とも、互いに切磋琢磨しつつ精進に努めたいと思います。
     今回は、大きな節目の参段のご昇段まことにおめでとうございました。
     引き続き、稽古に励みましょうね。

    [2009年12月08日 16:06]

コメント入力はこちら