初段審査に合格されましたM本さんの感想です。
2月26日
私が大阪合気塾に入門させていただいたのは約五年前。実はほぼ同時期に書道も学び始めました。今回、合気道初段審査と書道の昇段審査が重なり、平行して稽古に奔走した体験から、両道の共通点に気づきがありましたので、初段論文として述べたいと思います。
私は「滋賀県書道協会」という会派で書道を学んでおります。ここを選んだのは出身地が滋賀であることに加え、「個人の書を確立する」という方針に共感していたからでもあります。この会派の稀有な特徴は、子供でも初心者でも、字形を美しく書くよりも、筆から生み出される線の強さ多彩さ、白と黒のコントラストの美しさを表現することに主眼が置かれ指導を受けるところにあります。(その考え方が顕著な子供の書のサンプルをご覧になってみてください。はみ出してかすれていますが優秀作品です。https://www.syodo.or.jp/publication/curt_superior/brush )
書道の稽古は「臨書」と呼ばれる手本をまねて書くことが基本となります。形をそっくりにまねるのが「形臨」、原本から受けた印象を表現的に書くのが「意臨」。では形だけではなく線を重んじる指導の中で臨書にどう取り組むべきかいう質問に先日出会いました。それに対する回答は「基本的には形臨の仕事になりますが、原本の変化の幅を大きくするような形であれば、それは意臨といえるし実際に応用できる有益な学習になる」というものでした。
これがとても合気道と似ていると感じました。稽古では師範の技をじっくり眺め「形臨」に取り組みます。その中で、臍下丹田を意識して動きをすること、相手の力を感じながら技を取り受けることなど、どの技にも共通する合気道の基本、根幹を各技に落とし込んでいくのが「意臨」に当たるのだと、そしてその両輪があって「個の合気道を確立する」ことができるのであると思い至りました。
今回の審査で意臨はおろか形臨すら覚束なかった私が大上段に構えてしまいましたが、この臨書の心得を今後の稽古に生かしていきたいと考えております。
最後に審査にあたって須磨師範、師範代の皆様、物覚えの悪い私の稽古に快く根気よく応じて下さったすべての皆様に感謝しております。皆様がいなければとうの昔に投げ出して、初段審査を受けることなど叶わなかったでしょう。本当にありがとうございました。
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